平成二十一年福島県登録
保存刀剣鑑定書 (島田義助)
元来が二尺六寸を超える長さで、棒樋が掻き通されて中鋒延びごころの、南北朝期の大太刀の大磨上無銘を想わせる力強い姿の一刀で、「志津」の古極があった旨の古色溢れた鞘書(注)が附されている。鉄色の明るい地鉄は板目に杢、刃寄りに流れごころの肌を交え、地景が太く入って肌模様が明瞭に起ち現われ、地沸が厚く付く。美濃伝に相州伝を加味した出来栄えの刃文は、小互の目小丁子に尖りごころの刃、角形の刃、大きめの互の目を交え、飛焼と淡い湯走りが掛かり、刃縁が小沸で明るく、金線、砂流しが盛んに掛かる。操作性と刃味を兼ね備えた武士好みの作で、現在は「島田義助」と個銘が極められている。
これに付帯する藍鮫皮包鞘半太刀拵は、製作時のままの生ぶの状態が保たれ、時代は江戸時代中期を下らないと鑑せられる。鞘には革の太刀下緒が付され、時代色豊かな黒革片手巻の柄に付された御題目図長目貫は巻き込み位置が太刀用で、向きは刀と太刀両様に使用が可能。篠鑢模様の素銅金具、特に鞘の長覆輪状の鍬形金具は飴色となり、瓢箪唐草図鐔は素銅地に赤銅と銀の平象嵌で墨絵風に描かれて素銅地金具に調和。野戦に対応する拵であろう、興味深い造り込みとされている。