黒漆笛巻塗秋草蒔絵鞘大小拵
大Sho (Small=Wakizashi)
Whole length 68cm
Scabbard length approx. 52.1cm
Hilt length approx. 16.4cm
Hacho (Edge length) 46.4㎝
Sori (Curvature) approx. 0.76㎝
Nakago length approx. 12.1cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.42㎝
These Koshirae have no swords.
黒と濃茶の綺麗に揃った笛巻塗に、金銀粉と青貝で秋草を蒔絵表現した鞘が美しい大小拵。曲線と曲面によって構成されている鞘に施される円周方向の直線は、その間隔が狭いほど、そして繰り返し連続するほどに高い技量が要求される。わずかの幅の狂いが構成線を乱し、総体のバランスを崩してしまう。また、濃茶と黒の漆による色調の微妙な濃淡も美観の要。この鞘に施された秋草は穏やかな盛り上げ蒔絵で、図柄の要所に青貝螺鈿が虹色を呈して輝き視線を釘付けにする。華麗な鐔は江戸時代の美濃金工の手になるもので、漆黒の赤銅魚子地を背景に耳際のみに秋草図を配した、拵に装着して映える洒落た構成。脇差には丸に唐花紋の小柄笄二所を備えている。小柄笄の紋は、漆黒の赤銅魚子地にふっくらとした高彫金色絵が映える出来で、作者は石黒政近。縁頭は無銘ながら石黒作の芦原に佇む鶴図大小揃い。細やかな赤銅魚子地に繊細な鏨遣いで金の色絵が際立つ出来となっている。目貫は金無垢地の獅子図。これを茶色糸で上品な蛇腹巻としている。