駿馬図小柄
銘 紋宗乗 光理(花押)
後藤宗家二代宗乗の作であることを、同十二代光理が極めた小柄。
馬は「弓馬」の言葉があるように武士にとって最も重要な嗜みとされた芸技。駿馬を得ることもまた武士の力量に他ならず、源平合戦での佐々木高綱と梶原景季の先陣争いは頼朝の愛馬獲得譚として良く知られているところ(注)。
この小柄は、風格のある赤銅の駿馬を綺麗に揃った魚子地に据紋した作。大草原を駆け巡る姿を躍動的に捉え、大地を蹴る四肢、揺れる鬣、背後に靡く尻尾などをふっくらと彫り出している。赤銅の色合いも深みがあって品位高く、目玉のみ金の点象嵌。裏板の金地も落ち着いた光を放っている。
注…本誌二〇ページ(速報11)、藻柄子宗典の鐔参照。