寒菊に狗児図鐔
銘 蛟一則圖則周比合
※比は手偏に交
雪の消えかかった庭に遊ぶ子犬の愛らしい姿を捉えた作。雪囲いの寒菊が情感を高めている。
則周は、葛飾北斎に学んで大成した江戸を代表する蛟龍斎府川一則の門人。師風を受け継いで風雅な図柄を高彫表現するを得意とした。
本作は、赤銅地を泥障形に仕立てて打返耳とし、石目地を施して暖か味のある冬の日差しを演出。丸々とした子犬はくっきりと高彫され、金銀素銅で色合いを違え、しなやかな体毛まで繊細な毛彫で表現している。斑消えの雪の描写も巧み。