脇差
銘 播磨大掾藤原忠國
(業物)

Wakizashi
Harima daijo Fujiwara no TADAKUNI
(Wazamono)


肥前国 寛文頃 約三百五十年前

刃長 一尺五寸八分五厘
反り 二分
元幅 九分五厘半
先幅 六分八厘
棟重ね 一分八厘
鎬重ね 二分
金着二重ハバキ 白鞘入
藤代鑑定書「優良作」

平成三年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書

Hizen province / Kanbun era, (late 17th century, early Edo period) / about 350 years ago

Hacho (Edge length) 48㎝
Sori (Curvature) approx. 0.61㎝
Motohaba (Width at Ha-machi) approx. 2.9㎝
Sakihaba(Width at Kissaki) approx.2.06㎝
Kasane (Thickenss) 0.61㎝
Gold foil double Habaki / Shirasaya
Fujishiro certificate "Yuryo saku" (excellent).

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK 

 初代播磨大掾忠國は、肥前鍛冶の中枢である初代忠吉の弟廣貞(吉家)の次男で、慶長三年の生まれ。初銘を廣則と切り、寛永十一年に三十七歳で播磨大掾を受領して忠國と改銘した。佐賀藩の支藩小城藩に抱えられ、互の目乱刃を専らとして美しいのみならず切れ味にも優れて信頼厚く、多くの名刀を生み出し、九十四歳の長命を全うしている。
 この脇差は、研ぎ減りなく刃区深く遺された健全体。元幅に比較して先幅もたっぷりとして、反り浅めに中鋒の延びた、鋭利な印象の強い姿格好。小板目に杢目を交えた地鉄は綺麗に詰み、細かな地沸で全面が覆われ、肌目に沿って細やかな地景が濃密に入るしっとりとした肥前独特の美しい小糠肌でも極上の肌合いを呈す。対して鎬地は綺麗な刷毛目を想わせる柾目で激しい打ち合いにも耐えられる靭性の強い鍛え。刃文は足が長く盛んに入る焼幅の広い互の目丁子で、焼頭に複合した小丁子が所々で地に突き入る態を成すなど出入りに複雑な構成線を成す。柔らか味のある焼刃は小沸と匂で明るく、刃先に向かって長く延びた足を切るように金線が流れ、物打辺りでは砂流しとなって幾重もの層状の景色を成す。帽子は端正な小丸に返る。初代忠國に特徴的な、磨の一画目が菱形となる銘が鏨強く刻されている。



脇差 銘 播磨大掾藤原忠國脇差 銘 播磨大掾藤原忠國脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 白鞘

脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差表切先脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差表中央脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差表ハバキ上

脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差裏切先脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差裏中央脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 差裏ハバキ上

 

脇差 銘 播磨大掾藤原忠國 ハバキ

忠國押形