鼓図小柄
銘 後藤廉乗(花押)
後藤宗家十代廉乗光侶は、同八代即乗の四男で寛永五年の生まれ。承応元年に家督を相続し、江戸神田に屋敷を拝領して京と江戸とを往還したが、寛文二年に江戸定住を命じられ、以降江戸を活動の拠点とした。
製作の期間はおよそ四十五年の長きに亘っており、図柄の題材も多彩である。
この小柄は大小の鼓を雅に彫り描いた品格の高い作。
赤銅魚子地を打ち出し強く肉高く立体的に彫り出し、細部に繊細な鏨を切り込んで写実描写し、さらに金銀の平象嵌と金の色絵を加えている。
廉乗の自身銘が刻された貴重な作品である。