青貝微塵塗銀子持蛭巻鞘打刀拵


Aogai mijin nuri, Gin komochi hirumaki saya,
uchigatana koshirae



拵全長 三尺三寸七分
鞘長 二尺二寸五分
柄長 八寸

刃長 約二尺二寸三分
反り 約五分五厘
元幅 約一寸九厘

刀身はありません


価格 六十万円(消費税込)

Whole length: 102cm
Scabbard length: approx. 68.2cm
Hilt length: approx. 24.3cm
Hacho (Edge length) approx. 67.6㎝
Sori (Curvature) approx. 1.67㎝
Motohaba (Width at Ha-machi) approx. 3.3㎝


This koshirae has no sword.


Price 600,000JPY

 春秋季節を超えて花の採り合わせの美観を求めた洒落た拵。鉄地高彫金象嵌の鐔は、茶室の窓から眺めた景色を意匠としたもので、下地窓に絡みついたのは瓜であろうか、鄙びた風情が感じられる。花尽しの大振りな目貫は正確な描写で鮮やか。春蘭を文様風に彫り描いた縁頭は繊細で品がある。河骨図栗形は色合いの濃い朧銀地を高彫にし、赤銅と金の色絵で表した、これも鮮やかな作。赤銅魚子地の高彫に金色絵の、精巧で写実的彫口の稲穂図笄を備えとしている。拵全体の特徴を成しているのは、鞘に巻き付けた銀の板が放つ渋い風合い。黒漆地と青貝微塵塗地を蛭巻状に構成し、さらにその中央に幅の異なる銀板を蛭巻に象嵌し、色合いの妙味を示している。蛭巻鞘は、豊臣秀吉が備えとした朱漆地に金の蛭巻を施した所謂「太閤拵」で遍く知られている。この拵は近代の作ながら、銀板を太さや幅が微妙に変化し、しかも反りの付いた鞘の表面に等間隔で巻き付けるという頗る困難な技術(注)を以て製作した、確かな技量を感じさせる作。収められていた刀身は南北朝時代の磨り上げ物で、元先の身幅が広い豪刀である。


注…銀板に歪みが生じて鞘表面から浮いてしまった作が多い。


青貝微塵塗銀子持蛭巻鞘打刀拵

 

宗次押形