対龍図鐔 無銘 肥前
江戸時代、海外に開かれていた肥前長崎には自ずと西洋の文様や彫刻洋式が入って和洋の融合が特徴となった。
その風合いを求めたのが平戸國重などで、雨龍を対に意匠しているこの鐔が典型。
赤銅地を深く鋤き下げて石目地を施し、主題の龍神を肉高く彫り表して異風の表情を強めている。
厚手の耳も特徴的だが、興味深いのは、耳に渦巻く波を彫り出した銀の覆輪を廻らしている点である。