平成四年福岡県登録
宗昌親刀匠は昭和三十三年六月、九州にその人ありと知られた名工宗勉師(注①)の子として生まれ、本名を正敏という。昭和五十八年父に入門して修業。平成二年に初出品した新作名刀展で新人賞を受賞し、平成十三年以降連続して特賞を受賞し、平成十七年高松宮賞に輝き、平成十八年二月に無鑑査に認定されている。「刀造りは地鉄造り」との師匠の言葉を胸に、自家製鋼にも挑戦し、同郷の大先達左文字に迫らん(注②)と研鑽の日々を送っている。 この短刀は、身幅重ね尋常で、僅かに内に反った端正で美しい姿。板目鍛えの地鉄は地景が密に入り、地沸が厚く付いて光を反射して輝き、鉄冴える。広直刃調の刃文は小互の目に小丁子を交えて浅く湾れ、新雪のような小沸で刃縁が明るく、刃境に湯走り、細かな金線、砂流し掛かり、物打付近には金筋が躍動し、足、葉盛んに入り、沸の粒子が充満して刃中も明るい。帽子は突き上げて浅く返り、左文字同然。茎は製作時そのままに白く輝き、銘字が力強く刻されている。大左への憧憬と熱心な研究の跡を感じさせる、地刃昂然たる優品となっている。
注②…平成十三年に文化庁長官賞を受賞した際、いつか大左のような地鉄の作を鍛造し、「筑州住昌親作写江雪左文字」と切銘出来るよう精進したいと述べている。