飛燕図鐔
 銘 天台山麓園部芳英(花押)

江戸時代後期
武蔵国江戸下谷御徒町
赤銅魚子地八角丸形高彫色絵象嵌
縦 70mm 横 65.5mm 切羽台厚さ 4.7mm
特製落込桐箱入
特別保存刀剣鑑定書

Details

Tsuba
"Hiten" (Swallow)
Sig. Tendai sanroku Sonobe YOSHIHIDE [Kao]

Edo period / Edo city, Musashi province
made of Shakudo, inlay
Length 70mm Width 65.5mm Thickness 4.7mm
Special Kiri Box
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK


 精巧緻密な高彫表現を得意とした園部芳英(よしひで)。

春の暖かい風を切り裂いて飛翔する燕を描き、どこまでも青く清らかに澄んだ空気を表現した鐔。

涼やかに流れる小川と、そのほとりに咲く蒲公英、土筆、遠く広がって天に溶け込む大地も、総てが空気のありようを演出している。

主題の背後にあって重要な存在は、細やかに揃った赤銅の魚子地に他ならない。陽の光を大地に届けてくれるのが空気。

円状に打ち施した魚子地も燕や草原に生命感を与えている。

赤銅の黒、銀の白、目玉の金、頬の素銅とわずかの色金ながら、写実的高彫描写された燕は細部まで精密。

小川の流れは高彫で、切羽台のみ銀の平象嵌。

注…天台山とは寒山拾得で知られる国清寺のある霊山。我が国では比叡山のことで、江戸では寛永寺を意味している。


 

飛燕図鐔 銘 天台山麓園部芳英(花押)

飛燕図鐔 銘 天台山麓園部芳英(花押)

飛燕図鐔 銘 天台山麓園部芳英(花押)

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