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脇差 銘 奥大和守平朝臣元平
寛政九巳春




Wakizashi
Oku Yamato no kami Taira ason MOTOHIRA
Kansei 9 Mi Haru



薩摩国 寛政九年  五十四歳 二百二十三年前
Oku MOTOHIRA (1744-1826)
Satsuma province, Kansei 9 (AD1797, late Edo period), about 223 years ago

刃長 一尺八寸一分五厘 Edge length; 55cm
反り 五分二厘 Sori (Curvature); approx. 1.58cm
元幅 一寸一分八厘 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 3.57cm
先幅 九分六厘 Saki-haba(Width at Kissaki); approx. 2.91cm
棟重ね 二分三厘
鎬重ね 二分六厘 Kasane (Thickness); approx. 0.79cm
金着二重ハバキ 白鞘入
Gold foil double Habaki / Shirasaya
附 春霞会「上々作一位」鑑定書
Certification by Shunka kai "Jo-jo saku, first place"

昭和三十六年静岡県登録
特別保存刀剣鑑定書
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 

 延享元年十月、奥元直の子として生まれた奥元平は、安永六年に家督を継承し、寛政元年大和守を受領している。正宗、貞宗など相州伝の上工を範に懸命に鎚を振るい、量感ある姿に地刃の沸が昂然と輝く優品の数々を手掛け、同国の伯耆守正幸や江戸の水心子正秀などに比肩する名工として、刀史にその名を深く刻している。
この脇差は身幅頗る広く、元先の幅差殆どなく鋒延び、両区深く付いて重ね厚く、手持ち重く豪胆な姿。良く詰んだ小板目鍛えの地鉄は、地底に細かな地景を伴う杢目と板目肌が脈々と入り、地沸滾々と湧き立って地肌潤い、鉄色が一際澄んで美しい。尖りごころの互の目乱の刃文は、小互の目、矢筈風の刃を交えて高低に変化し、銀砂のような沸が厚く付いて明るい刃縁から地中に小沸の滲み込むような繊細な働きが窺え、匂が満ちて明るい刃中には沸足が太く入り、これを切り裂くように無数の稲妻(注)、細い沸筋が掛かって覇気満々。帽子は焼を深く残して強く沸付き、激しく乱れ込んで突き上げ火炎状に乱れて返る。茎の保存状態は良好で、銘字が太鑚で堂々と刻され、正宗と同じく剣先鋭く尖った舟底形茎の先端には隠鑚が刻され、自作への責任が明確にされている。相州上工、別けても名刀の遺作が多い志津兼氏を想わせ、沸の美で充満した同作脇差中の傑作となっている。

注…刃境の屈曲した稲妻を元平の釣り針と呼びならわしている。

脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春    脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 白鞘

 

 

脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 切先表     脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 刀身表中央脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 刀身ハバキ上表


 

脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 刀身差裏切先    脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 刀身差裏中央脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 刀身ハバキ上差裏

 

 

 

  脇差 銘 奥大和守平朝臣元平 寛政九巳春 ハバキ

 

 

元平押形

 


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