短刀 銘 剣龍子貞晴 明治四年二月日
一分刻黒漆塗鞘合口短刀拵入 Ichibu kizami kuro urushi nuri saya, aikuchi tanto koshirae |
幕末から明治時代初期にかけての激動期、銃器の開発が進んだとは言え、自らの身体を守るための最後の武器は懐に忍ばせ得る小振りの短刀であった。この短刀は古作左文字を手本にしながらも、相手の武器をも受け止められる重ねの厚い造り込みとした、頑丈な印象のある作。三ツ棟に仕立てて重ね厚く、身幅尋常にふくらを枯らせた凄みのある姿格好。小板目鍛えの地鉄は密に詰んで柾状にゆったりと流れ掛かる肌が刃寄りに浮かび、微細な地沸で覆われて垢抜けた風情。刃文は足が刃先まで延びた小互の目で、匂口明るく冴え冴えとし、刃境を金線が長く入り、刃中にも砂流しを伴う金線が幾重にも連なり、帽子は浅く弛み込んで捌き頭状に掃き掛けて返る。 |
Ginza
Choshuya All Rights Reserved