壺透図鐔
無銘 古甲冑師
甲冑師の技術は、鍛えた堅牢な鉄地を組み合わせて兜の鉢などを造り出しているように、鋼材を構造物とするところにある。鐔においても、耳を桶底式に高く仕立てたり、本作のように土手耳としたり、さらには環状の耳を鍛着した作があり、いずれも強い衝撃に耐える機能が求められているところが構造鐔の魅力となっている。
この鐔は、色合い黒々としてねっとりとした光沢があり、素材の強みが全面に溢れ出ている。カランと乾いたような響音も古作のみが備える特徴。装飾は過ぎることのない壺の小透である点も魅力。