平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之
平成十三年八月吉日


Katana (Hira-zukuri)
Inshu junin Tenryushi HIDETOSHI kore wo tsukuru
Heisei 13 nen 8 gatsu kichijitsu



鳥取県鳥取市 金崎秀壽 五十七歳作
Kanasaki Hidetoshi
lives in Tottori city, Tottori prefecture
This tanto was forged at the age of 57.


刃長二尺一寸二厘強 Edge length; 63.7cm
反り 五分二厘半 Sori (Curvature); approx.1.6cm
元幅 一寸一分五厘半 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 3.5cm
重ね 二分三厘 Kasane (Thickness); approx. 0.7cm
彫刻 表 二筋樋・梵字・蓮台 裏 爪付素剣に不動明王梵字
Engraving: "2 suji hi, Bonji, Rendai" on the right face (Omote),
"Tsume-tsuki Suken, Fudo-Myoo Bonji" on the back face (Ura)

金赤銅色絵一重ハバキ 白鞘入
Gold and Shakudo plating single Habaki / Shirasaya

平成十三年鳥取県登録

 

 金崎秀壽刀匠は昭和十九年鳥取市の生まれ。戦前、國神社の日本刀鍛錬会で鎚を振るい清麿に私淑した父天日斎助壽師により、清麿の若銘と同じ秀壽と命名された同工は、皆焼出来の覇気のある相州伝の刀を最も得意としている(注)。
この刀は上杉家伝来の水神切兼光と同じ平造刀(注A)で、身幅頗る広く物打辺りが張り、ふくらやや枯れて反りの付いた軽快鋭利な姿。彫刻は表が丈比べの二筋樋の間に如意輪観音の梵字と蓮台、裏は剣に不動明王の梵字が映えて美しい。地鉄は小板目肌が詰み、初霜のような地沸が厚く付くも荒ぶるところがなく澄みわたる。互の目に丁子を交えた刃文は尖りごころの刃、房状の刃を交え、帽子も激しく乱れ込んで突き上げて返り、そのまま長く棟を焼き下げ、棟焼にも刃文を映したように尖った刃、矢筈風の刃を交えて迫力ある皆焼となる。鮮やかな匂の焼刃は、刃縁に小沸が付いて匂口締まりごころに明るく、互の目に伴って足が長く射し、刃境に細かなほつれ、金線、砂流しが掛かり、所々に飛焼を交えて棟焼と連動する。細かな沸と匂が充満した刃中は固く締まって冴え、さながら氷の焼刃。相州伝舟底形茎は製作時そのままに未だ白く輝き、草書風の銘字が鮮明。遠くは相州廣光、秋廣、近くは伯州廣賀や相州綱廣を範に創意が加えられ、秀壽師の熟練の技が光る優品となっている。        

注@…『因伯の刀工と鐔』では「因伯現代刀工で皆焼を焼かせてこの工の右に出るものはないと思われる」と絶賛されている。
注A…南北朝時代には二尺を超える平造の刀が製作された。水神切兼光は最上大業物作者。

平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日    平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 白鞘

 

 

平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 切先表 平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 差表中央平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 刀身ハバキ上表


平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 切先裏平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 差裏中央平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 刀身ハバキ上差裏

 

 

  平造刀 銘 因州住人天龍子秀壽造之 平成十三年八月吉日 ハバキ


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