金梨子地塗家紋蒔絵鞘小さ刀拵
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五ツ木瓜に水文字紋と十五枚笹紋を金梨子地塗に金切金と黒漆で散し配した鞘とし、同じ家紋の揃金具で装った、威儀正しい小さ刀拵。本金を用いた金梨子地塗は漆と融合して濃厚でしかも古調な色合いを呈しており、家紋は表面が平滑な金切金と石目地処理をした切金で調子の異なる美観を呈している。いずれも厚手の金を用いていることから剥落もなく健体を保っている。黒漆による家紋はわずかに透明感が生じて時の流れを感じさせ、両者の色合いを際立たせる梨子地塗であることが判る。金で縁取りを施した金具は奇麗に揃った赤銅魚子地仕立てに精巧な高彫が成されて洗練味がある。出鮫柄に据えられた目貫は、赤銅磨地に家紋と瓢箪を意匠したもので美しい。鐔は赤銅磨地無文ながら。耳にのみ金の色絵を施しており、金無垢切羽と共に腰に帯びた際の美観が考慮されている。 注…茎尻に「兼」の銘字の一画目が遺されている。 |
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