平三角直槍
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相模守政常は戦国時代末期から慶長頃を活躍期とした尾張の刀工。太閤子飼いの猛将福島正則に仕え、天正十九年に相模守を受領。槍造りの名手としても名高く、遺作中には福島正則の為に精鍛した「進上福嶋掃部守様十本内」の切銘のある平三角槍が知られている。この槍は政常が得意とした平三角の造り込みで、身幅尋常に塩首がっちりとし、鎬筋屹然と立って重ね厚く、差裏に細い打樋が掻かれ、短寸ながら精悍な姿。柾目主調の板目鍛えの地鉄は小粒の地沸が厚く付いて地肌固く締まる。直刃調の刃文は浅く湾れ、微かに小互の目を交え、刃境に金線と湯走りが掛かり、殊に裏は長く続いて顕著な二重刃となり、小沸付いて匂口締まりごころに明るい。帽子は焼深く、表は小丸、浅く乱れて返る。浅い勝手下がり鑢で仕立てられた茎には銘字が太鑚で力強く、堂々と刻されている。質実堅牢で操作性の優れた、如何にも武士好みの槍で、地刃の出来は上々。 注@…関白豊臣秀次に拝謁し、若狭守氏房、伯耆守信高らと共に受領とある(『美濃刀大鑑』所収「関鍛冶累代之系図」)。 |
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