銘 肥前國近江大掾藤原忠廣

(大業物)

Katana
Hizen no kuni ju Omi daijo Fujiwara no TADAHIRO
(O Wazamono)



肥前国 寛文頃 約三百五十年前
Hizen province, Kanbun era, early Edo period, late 17th century, about 350 years ago

刃長 二尺二寸九分 Edge length; 69.4cm
反り 四分六厘 Sori (Curvature): approx. 1.4cm
元幅 一寸 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 3.03cm
先幅 六分二厘 Saki-haba (Width at Kissaki); approx. 1.88cm
棟重ね 二分一厘
鎬重ね 一分九厘 Kasane (Thickness); approx. 0.58cm
金着二重ハバキ 白鞘付
Gold foil double Habaki / Shirasaya

黒皺革包鞘打刀拵入 Kuro Shibo-gawa-tsutsumi saya, uchigatana koshirae
拵全長 三尺三寸四分 Whole length: approx. 101.2cm
柄長 八寸 Hilt length: approx. 24.24cm

昭和五十六年愛知県登録
特別保存刀剣鑑定書
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 

 近江大掾忠廣は肥前国佐賀藩鍋島侯のお抱え刀工で、新刀随一と謳われる肥前國忠吉を父とする。寛永九年に父を喪った時、十九歳ながら一門の棟梁の重責を担い、主君の厳しい注文(注)に応えて鍛刀し、父譲りの技術に一段と磨きをかけ、小糠肌と呼ばれるきめ細やかな小板目肌に端正な直刃や華麗な丁子乱刃が冴えた名刀を手掛け、肥前刀の名声を盤石なものとしている。
この刀は、心技充実した寛文頃の作とみられ、身幅広く、反り高く中鋒に造り込まれ、肥前刀らしい優美で洗練味のある姿。地鉄は小板目肌が密に錬れて詰み、細かな地景が縦横に入って肌目が緻密に起ち、小粒の地沸が均一に付いて鉄色澄み、奇麗な肥前の小糠肌となる。この地鉄と共に最も得意とする直刃の刃文は浅く揺れ、小沸が淡雪の如くふんわりと降り積もり、いわゆる帯状の匂口となって明るく、小足が盛んに入って葉が浮かび、刃中に匂が充満して蒼みを帯びる。帽子は焼を充分に残し、ふくらに沿って小丸に上品に返る。茎は僅かに区送りながら保存優れ、鑢目は掟通りの勝手上がりで、銘字も入念。典型的な出来口でしかも地刃が精美、肥前刀の優質が心に染みる優品となっている。
独特の黒味を帯びた立波図銀金具が渋く映える黒皺革包鞘に、魯櫂図目貫の拵が附されている。

注…入念に鍛刀せよとの書状を添えて特別の材料を送付し、他国の大名家など有力筋へ贈る刀を打たせたという。

刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 白鞘黒皺革包鞘打刀拵 刀身 刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣

刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 切先表刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 刀身中央表刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 ハバキ上表


刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 切先裏刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 中央裏刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 刀身区上差裏

  刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 ハバキ

 

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