短刀
銘 出羽大掾藤原國路
(業物)


Tanto
Dewa daijo Fujiwara no KUNIMICHI
(Wazamono)



山城国 寛永頃 約三百八十年前
Yamashiro province, Kan'ei era, early Edo period, about 380 years ago

刃長 一尺八分二厘 Edge length; 32.8cm
反り 一分五厘 Sori (Curveture); approx.0.46cm
元幅 九分四厘 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 2.85cm
重ね 二分 Kasane (Thickness); approx. 0.61cm

金着二重ハバキ 白鞘入
Gold foil double Habaki / Shirasaya

昭和二十九年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 出羽大掾國路は堀川國廣の最古参の門人の一人。初銘を國道と切り、後に國路と改めて独立。出羽大掾の受領は慶長十八年十月十日である。國路が居住した毘沙門町(西洞院夷川通下ル)は、伊賀守金道、丹波守吉道、越中守正俊など名工揃いの三品派の拠点。この三品一門と交流し、師伝の技に磨きを掛けた國路の名声は高まり、ついには四代将軍家綱より祇園社の御神宝の大太刀と剣の鍛造を拝命、京の名匠として日本刀史に深くその名を刻している。
この短刀は、身幅広く重ねしっかりとし、ふくらが充分に付いて寸法の延びた、鎌倉末期から南北朝初期の姿。板目肌が流れた地鉄は地景が太く働いて肌目強く起ち、粒立った地沸が厚く付いて光を強く反射するザングリとした独特の肌合い。刃区下の焼き込みから始まる古名刀然とした刃文は、浅い湾れに小互の目、尖りごころの刃を交え、真砂のような粒子の細かい沸が付いて刃縁が明るく、刃境には湯走りが掛かって一部二重刃となり、照度の高い刃中には金線が稲妻状に躍動し、細かな砂流し掛かり、沸筋が流れ、太く入った沸足の一部が逆ごころとなるなど沸付いて奔放に変化。帽子は浅く弛み込んで掃き掛け、突き上げて返る典型的な三品帽子。僅かに化粧鑢の施された茎の保存は優れ、独特の書体の銘字も鮮明。志津兼氏を想わせる古風な仕上がりで、國路の熟練の技が光る佳作(注)となっている。

注…鑢目、銘形、刃文構成共々、総てが寛永十六年八月日吉銘の九寸七分三厘の彫身の短刀(第三十五回重要刀剣)と酷似。因みに同作の図譜は「最も得意とした志津風の作域…刃取りも穏やかな一口で、出来がよい」と評価している。

短刀 銘 出羽大掾藤原國路 短刀 銘 出羽大掾藤原國路 短刀 銘 出羽大掾藤原國路 白鞘

短刀 銘 出羽大掾藤原國路 切先表短刀 銘 出羽大掾藤原國路 ハバキ上表


短刀 銘 出羽大掾藤原國路 切先裏短刀 銘 出羽大掾藤原國路 刀身区上差裏

短刀 銘 出羽大掾藤原國路 ハバキ

 

國路押形

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