短刀
銘 備州長舩清光
享禄四年二月日


Tanto
Bishu Osafune KIYOMITSU
Kyoroku 4 nen 2 gatsubi



備前国 享禄四年 四百八十七年前

Bizen province, Kyoroku 4, late Muromachi period, AD1531, 487 years ago

刃長七寸五分二厘半 Edge length; 22.8cm
内反り Uchi-zori
元幅 六分六厘 Moto-haba(Width at Ha-machi); approx. 2.0cm
棟重ね 二分五厘半 Kasane (Thickness); approx. 0.77cm
上蓋金着下蓋銀着二重ハバキ 白鞘付 Gold and silver foil double Habaki / Shirasaya

石目地白檀塗鞘小さ刀拵入 Ishime-ji Byakudan nuri saya, chisa gatana koshirae
拵全長 一尺九寸 Whole length: approx. 57.6cm
柄長 四寸七分 Hilt length: approx. 14.24cm

昭和四十六年長野県登録
保存刀剣鑑定書
Hozon certificate by NBTHK



 戦国期の備前は播磨、備前、美作の守護赤松氏とその旧重臣浦上氏が対立、これに毛利氏と宇喜多氏らが関与し、一進一退の戦国絵巻が展開。棟梁五郎左衛門尉に率いられた清光一門は、播磨龍野城にあって浦上氏と対峙した赤松政秀の信頼を得、彼とその家中のために盛んに鎚を振るった。
この短刀は重ね厚く、わずかに内反りとなり、ふくらの枯れた鋭利な姿で、敵将の具足の間隙を突くべく武将が腰に備えた鎧通し。地鉄は小板目に杢、流れごころの肌を交え、小粒の沸が付いて地肌硬く締まり、全面に映りが立つ。片落風の刃を交えた互の目乱の刃文は浅く湾れ、帽子は激しく掃き掛け、突き上げて長めに返る。焼刃は小沸で明るく、刃境にほつれ、金線、砂流し掛かって小沸匂の層を成し、刃中に沸の粒子が充満して冷たく澄む。平地側にも淡い湯走りが流れ込み、焼頭から映りに煙り込むような働きも顕著。刻銘には力が籠り、俗名こそないが入念作。
拵は刀身に比して長く、前差しではなく左腰に差して用いたもの。石目地に金箔を押して透き漆で仕上げた風雅な鞘を装う小柄は、表が短冊に料紙図、裏が薄に三日月を毛彫と片切彫で情緒豊か。面白いのは縁頭。縁に先に貝殻を附したお玉状の棒と菜箸、頭には箒と台所道具に鼠の取り合わせで大黒天留守模様。さらに菊花尽図小鐔と鮮やかな金色絵の二匹獅子図目貫が附され、総体が洒落た風情のある作。鞘を長く小さ刀風とした所持者の美意識の光る佳品である。

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短刀 銘 備州長舩清光 享禄四年二月日 切先表短刀 銘 備州長舩清光 享禄四年二月日 差表ハバキ上


短刀 銘 備州長舩清光 享禄四年二月日 切先裏 短刀 銘 備州長舩清光 享禄四年二月日 差裏ハバキ上

 

 












短刀 銘 備州長舩清光 享禄四年二月日 ハバキ


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