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銘 備前國住長舩清光作之(五郎左衛門尉)
天文十七年八月日


Katana
signature Bizen no kuni ju Osafune Kiyomitsu kore wo tsukuru
(Gorozaemon no jo)

Tenbun 17 nen 8 gatsubi

備前国 天文 四百七十年前

刃長 二尺一寸七分六厘 Edge length; 65.9cm
反り 八分五厘 Sori (Curveture); approx.2.58cm
元幅 一寸九厘 Moto-haba(width at Ha-machi); approx. 3.31cm
先幅 七分三厘 Saki-haba (width at Kissaki); approx. 2.22cm
棟重ね 一分六厘半
鎬重ね 二分九厘半 Kasane (thickness); approx. 0.9cm
彫刻 表裏 棒樋丸止
特製金着二重ハバキ 白鞘付

卵殻微塵塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺三寸 Whole length; approx. 100cm
柄長 八寸 Hilt length; approx. 24.3cm

平成二十七年東京都登録

特別保存刀剣鑑定書(五郎左衛門尉) Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK (Gorozaemon no jo)

 

 戦国時代に祐定家と共に長舩鍛冶の評価を高めた清光家の実質的な初祖、五郎左衛門尉清光の特徴的な造り込みと銘が刻された覇気横溢の刀。次代孫右衛門尉清光の父として遍く知られているのみならず、清光同銘が多数ある中でも最も技量の高いのがこの五郎左衛門尉。戦国武将赤松政秀により播磨龍野城下に招かれて鍛刀(注)していることからも、その信頼度が証されている。本作の造り込みは、片手打に適した寸法で反り深く、身幅広く鋒延びて鎬重ね極端に厚く、その一方で棟を削ぎ、刃先の肉も落として斬り込んだ刃の抜けを効率化した構造。地鉄は緻密に詰み澄んだ板目に杢目を交え、縮緬状に肌目が揺れて靭性に富む。全面が微細な地沸で覆われ、自然な地景が穏やかに入り、鎬寄りに映りが立つ。刃文は、長舩鍛冶では忠光と共に得意とした直刃を基調に、浅い湾れ、ごく小さく乱れた互の目と小丁子を交え、地中に小さな飛焼を点在させ、地中に突き入るような刃、物打辺りには丸みのある互の目を焼き込んで変化のある刃採りとしている。小沸に匂を複合した焼刃は、匂口締まって明るく、刃境には肌目に沿ったほつれが撚り糸を解したように現われ、そのまま刃中の砂流しや沸筋となって流れ掛かる。無数に入る小足と淡いながらも濃密に漂う葉は、刃中に満ちた匂と感応して一際明るく冴える。帽子は乱れが抑えられ、わずかに掃き掛けて返る。
 附されている拵は、微塵に砕いた卵の殻を塗り込んだ珍しい造り込みで、美しく落着きがあり、綺麗な金具と共に洒落た風情を漂わせている。

注…天文二十二年には湯浅佐渡守、同二十三年徳岡勘解由左衛門家康、同年肥塚和泉守利重など赤松の重臣の刀を鍛えている。また、同二十四年には赤松政秀との合作刀もある(長舩町史)。

刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日卵殻微塵塗鞘打刀拵 刀身 刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 白鞘

刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 切先表刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 刀身中央表刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 ハバキ上表


刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 切先裏刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 中央裏刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 刀身区上差裏







 


刀 銘 備前國住長船清光作之(五郎左衛門尉) 天文十七年八月日 ハバキ



清光押形
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