刀 刃長 二尺一寸七分六厘 Edge length; 65.9cm 卵殻微塵塗鞘打刀拵入
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戦国時代に祐定家と共に長舩鍛冶の評価を高めた清光家の実質的な初祖、五郎左衛門尉清光の特徴的な造り込みと銘が刻された覇気横溢の刀。次代孫右衛門尉清光の父として遍く知られているのみならず、清光同銘が多数ある中でも最も技量の高いのがこの五郎左衛門尉。戦国武将赤松政秀により播磨龍野城下に招かれて鍛刀(注)していることからも、その信頼度が証されている。本作の造り込みは、片手打に適した寸法で反り深く、身幅広く鋒延びて鎬重ね極端に厚く、その一方で棟を削ぎ、刃先の肉も落として斬り込んだ刃の抜けを効率化した構造。地鉄は緻密に詰み澄んだ板目に杢目を交え、縮緬状に肌目が揺れて靭性に富む。全面が微細な地沸で覆われ、自然な地景が穏やかに入り、鎬寄りに映りが立つ。刃文は、長舩鍛冶では忠光と共に得意とした直刃を基調に、浅い湾れ、ごく小さく乱れた互の目と小丁子を交え、地中に小さな飛焼を点在させ、地中に突き入るような刃、物打辺りには丸みのある互の目を焼き込んで変化のある刃採りとしている。小沸に匂を複合した焼刃は、匂口締まって明るく、刃境には肌目に沿ったほつれが撚り糸を解したように現われ、そのまま刃中の砂流しや沸筋となって流れ掛かる。無数に入る小足と淡いながらも濃密に漂う葉は、刃中に満ちた匂と感応して一際明るく冴える。帽子は乱れが抑えられ、わずかに掃き掛けて返る。 注…天文二十二年には湯浅佐渡守、同二十三年徳岡勘解由左衛門家康、同年肥塚和泉守利重など赤松の重臣の刀を鍛えている。また、同二十四年には赤松政秀との合作刀もある(長舩町史)。 |
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