刀 刃長 二尺二寸九分 Edge length; 69.4cm
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この刀は身幅が広く、特に横手筋辺りが張り、中鋒伸びごころに結んで姿に力が感じられ、しかも区深く健全体躯が残されている。鎬地を綺麗な柾目鍛えに、平地を小板目鍛えとした地鉄は、地底に地景が蠢き、微細な地沸と感応し合って活力漲り、刃味の良さを窺わせている。区下わずかに焼き込みから始まる互の目乱の刃文は、三本杉風に所々地に深く突き入る態があり、帽子は互の目状に乱れ込んで先に掃き掛けを伴う小丸返り。明るい匂に小沸を交えた焼刃は、刃境に繊細なほつれが細い地景を伴って入り組み、これらが刃中に及んで細かな砂流しとなり、匂の満ちた刃中に太く射す足の上を清らかに流れ掛かる。関孫六兼元を念頭に置いた平四郎吉政の名品で、新たな作風への挑戦意欲旺盛の出来。 |
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