刀
大磨上無銘　西蓮

Katana
no sign (O-suriage mumei) Sairen

筑前国　鎌倉後期文保頃　約七百年前

刃長 二尺二寸六分三厘 Edge length; 68.6cm
反り 五分二厘 Sori (Curveture); approx.1.58cm
元幅 一寸七厘強 Moto-haba(width at Ha-machi); approx. 3.25cm
先幅 八分 Saki-haba (width at Kissaki); approx. 2.43cm
棟重ね 二分
鎬重ね 二分六厘 Kasane (thickness); approx. 0.79cm
彫刻　表裏 棒樋掻通し丸止・添え樋
金着二重ハバキ　白鞘付

昭和二十八年東京都登録

重要刀剣　JUYO

鎌倉時代後期、元軍の襲来に備えて幕府は鎮西談議所を置いた。談議所(注)に属したとされるのが西蓮。西蓮は、國吉二字銘の短刀（加賀前田家伝来 重要文化財）、談議所國吉銘の太刀（重美）、西蓮二字銘の短刀（重美）等、錚々たる遺作で知られる鎮西古典派の代表的な刀工。その刃味と威力に優れた技術は子の實阿、孫の大左へと継承されている。
この刀は元来二尺六寸を超える大太刀。棒樋と添樋が掻かれてなお手持ち重く、適度な輪反りに中鋒の力感漲る姿。地鉄は板目に杢、刃寄りにうねる柾目を配して地景が太く働き、厚い地沸によって肌が白く輝き、古調な映りに地斑が同調して温潤味のある肌合い。中直刃の刃文は浅く揺れ、良く沸付いて刃縁明るく、湯走り、金線、砂流し掛かり、ほつれ、打ちのけ、喰い違いごころを交え、小足が無数に入る。帽子は浅く弛み、突き上げごころに小丸に返り、淡く棟を焼く。

注…｢筑前國博多談儀所國吉法師西蓮　文保元年二月｣の太刀があり（『光山押形』）、実名・住居・活躍年代は明らか。なお談議所については、これを善導寺（現福岡市博多区中呉服町）の異名とする説もあり、今後の研究の深化に期待したい。