短刀 昭和三十八年熊本県登録 特別保存刀剣鑑定書 Tokubetsu-hozon
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最上大業物に列せられる室町中後期の美濃刀工兼定は、初め定のウ冠の下の旁を「疋」に刻し、明応九年八月頃に「之」とする「之(の)定(さだ)」に改めた(注@)ことからこの初期作を「疋(ひき)定(さだ)」と称している。細かく詰んだ美しい小板目鍛えの地鉄と、抜群の刃味の良さで武将の信頼が篤く(注A)、孫六兼元、備前与三左衛門尉祐定などと比肩する戦国期最大の技術者である。 注@…明應九年八月日紀の濃州関住兼定作(疋定)銘の両刃造短刀があり(井本悠紀「資料紹介 明応九年八月紀を有する之定の初期銘について」『刀剣美術』六七九号)、一方、同年月日紀の之定銘の刀(『室町期美濃刀工の研究』)があり、改銘した時期はこの頃と特定される。 |
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