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短刀
銘 濃州関住兼定
(最上大業物)

Tanto
signature Noshu Seki ju Kanesada
(Saijo O Wazamono)

美濃国 明応頃 約五百二十五年前
Mino province / Meio era (late Muromachi period), about 525 years ago

刃長 七寸五分 Ha-cho (Edge length); 22.7cm
内反り僅少 a little curved go to innner ("Uchi-zori")
元幅 六分八厘 Moto-haba (width at Ha-machi); approx.2.06cm
重ね 一分八厘 Kasane (thickness); approx.0.55cm
金着二重ハバキ 白鞘入 Gold foil single Habaki, Shirasaya

昭和三十八年熊本県登録

特別保存刀剣鑑定書 Tokubetsu-hozon


  最上大業物に列せられる室町中後期の美濃刀工兼定は、初め定のウ冠の下の旁を「疋」に刻し、明応九年八月頃に「之」とする「之(の)定(さだ)」に改めた(注@)ことからこの初期作を「疋(ひき)定(さだ)」と称している。細かく詰んだ美しい小板目鍛えの地鉄と、抜群の刃味の良さで武将の信頼が篤く(注A)、孫六兼元、備前与三左衛門尉祐定などと比肩する戦国期最大の技術者である。
 この短刀は、明応初年頃の疋定の銘が刻された作で、鎌倉時代の古名刀を想わせるふくら枯れごころに引き締まった姿が殊に美しい。地鉄の質も優れ、小板目に小杢目、僅かに流れごころの肌を交えて詰み、地沸が微塵に付いて地肌しっとりとし、関映りが全面に立ちこめる。互の目乱の刃文は、下半に尖った刃を、中程から先に矢筈風あるいは片落ち風の互の目を配し、元から先へ僅かに焼幅を広め、帽子は乱れ込み、先端が突き上げて蝋燭の芯のような形となって返る。焼刃は、小沸が柔らかく付いて刃縁明るく、焼の谷から小足が入り、刃中は匂が充満して澄みわたる。美濃特有の檜垣鑢が掛けられた茎に、細鑚で刻された特徴的な銘字(注B)は鑚の線が澄む。身分の高い武将の注文で、鎌倉時代の名工、就中、備前長舩景光を念頭に精鍛された一口であろう。名匠の卓抜なる技を今に伝えている。

注@…明應九年八月日紀の濃州関住兼定作(疋定)銘の両刃造短刀があり(井本悠紀「資料紹介 明応九年八月紀を有する之定の初期銘について」『刀剣美術』六七九号)、一方、同年月日紀の之定銘の刀(『室町期美濃刀工の研究』)があり、改銘した時期はこの頃と特定される。
注A…「武田左京大夫信虎所持」の二字銘の刀がある(重要美術品)。

注B…明應二年八月日紀の濃州関住兼定作の脇差のそれに酷似。そして兼の第二画、第三画が同一方向に、第十画から十二画の鑚が一列、定のウ冠の第一画目が下から上に打たれており、疋定・之定に共通する兼定の銘字の特色が顕著(『室町期美濃刀工の研究』)。

短刀 銘 濃州関住兼定短刀 銘 濃州関住兼定短刀 銘 濃州関住兼定 白鞘

短刀 銘 濃州関住兼定 切先表短刀 銘 濃州関住兼定 ハバキ上表


短刀 銘 濃州関住兼定 切先裏短刀 銘 濃州関住兼定 ハバキ上裏

短刀 銘 濃州関住兼定 ハバキ




兼定押形
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