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短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日

Tanto Toshihide Kaei 7 nen 8 gatsu hi

因幡国 嘉永 二十四歳 百六十二年前 刃長 七寸(二一・二糎) 反り 僅少 元幅 七分八厘 重ね 一分八厘半
彫刻 表裏 二筋樋掻流し
銀着一重ハバキ 青貝微塵塗鞘合口拵入 白鞘付 拵全長 一尺一寸五分 柄長 三寸六分
平成九年兵庫県登録

保存刀剣鑑定書

 眠龍子壽秀は本姓を岩本と称し、天保二年の生まれ。壽格‐壽實‐壽幸と続く浜部家の四代目で壽幸の高弟。師が五十三歳で没したため、その子壽光の後見役として浜部家を預かり、御家伝統の微塵に詰んだ小板目肌に華やかな互の目丁子や引き締まった直刃を焼くを得意とした。活躍の場を江戸に求め、山田浅右衛門吉豊の協力を得て試刀し、斬れ味に優れた刀を製作している(注)。
 懐に隠し持つに適した寸が控えめのこの短刀は、小振りながら身幅と寸法のバランスが良く、二筋樋を掻いて姿に緊張感があり、区深く遺されて生ぶ刃も健在。小板目鍛えの地鉄は微塵に詰んで微細な地沸で覆われ、しっとりとした質感がある。刃文は小互の目丁子が長短の足を伴い、焼頭も複雑に出入りし、帽子も調子を同じくして乱れ込み、先尖りごころに返る。匂口柔らか味のある焼刃は明るく冴え冴えとし、刃中に射す小足は匂で煙るように刃先に溶け込み、高い技術を備えていたことを明示している。
 拵は、緑色鮮やかな青貝を微塵に散らした鞘に、銀地片切彫で唐草文を廻らした縁頭、口金、鐺の揃金具を装着し、菊水図飾り金具を折金に仕立て、目貫は葵紋、桜花文目釘を備えて美観を高めた因幡藩特有の造り込み(注A)。頭には柄の抜け落ち防止の為の細紐を通す環が設けられている。

注…「乳割土壇払」の截断銘が刻された安政三年紀の脇差がある。

短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 表短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 裏短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 白鞘

短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 刀身表切先短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 刀身 切先表


短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 青貝微塵塗鞘合口拵




短刀 銘 壽秀 嘉永七年八月日 ハバキ


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