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三つのお約束

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平造脇差 銘 出羽大掾藤原國路
元和五年十二月日 主大橋松節入重政(業物)

Hirazukuri wakizashi
Dewa daijo Fujiwara no Kunimichi
Genna 5 nen 12 gatsu hi, Shu Ohashi Shosetsu nyu Shigemasa
(Wazamono)


山城国 元和 三百九十七年前 刃長 一尺三分四厘(三十一・三糎) 反り 一分七厘 元幅 一寸一分四厘
重ね 二分強 金着一重ハバキ 白鞘付
朱漆塗鞘脇差拵入 拵全長 一尺九寸三分 柄長 四寸七分
昭和四十九年秋田県登録
重要刀剣


 出羽大掾國路は天正四年の生まれ(注)。堀川國廣に学んでその高弟として遍く知られるとともに、同じ京の三品派にも学んだと考えられ、國廣風に三品風を融合した南北朝時代の相州物に紛れる優品を遺している。年紀は慶長十三年が最も古く、同十四年頃までは銘を國道と切り、十五年に國路と改銘している。慶長十八年に出羽大掾を受領、晩年には「来」を関した作を遺していることからも三品派との関連が考察される。早くに独立したものであろう、伝統を守るだけでなく新趣の作風へと意識を高め、他流派の技術を採り入れて自らのものとした國路の創造意欲が窺いとれよう。

 佐竹家旧蔵と伝えるこの平造脇差は、包丁正宗を手本に独創を加えたもので、本歌に比較して肉厚く、身幅も広めに三ツ棟とした、同工としては特異な造り込み。適度に沿って先反りが加わり、物打辺りも張って姿に力が漲り、鋒鋭利に截断能力も高い。板目が大きく揺れた地鉄は微細な地沸が全面に付き、縮れたような杢肌を交えて肌間が小板目状に肌立ち、総体がザングリとして師國廣伝を鮮明にしている。微妙に質の異なる鋼を交えたものであろう、肌目に沿って流れる映り状の淡い働きも強さに美しさを加えている。刃文は沸を

主体とする沸き立つ雲のような自然な互の目乱。焼頭が丸みを帯び、刃縁の沸はほつれによって刃中に広がり、ここでも板目肌に沿って流れ、これに同調して金線も流れ掛かる。沸の雲間には長短の複雑な足が入り組み、匂の立ち込めた刃中には島刃と葉が漂い、乱れ込んで先尖りごころに返る帽子は三品派の影響であろう、淡い棟焼に連続して一際力強い。錆色黒々として光沢の強い茎には、切り込み強く鑚枕の立った銘字と年紀に加え、資料的にも貴重な所持者銘が記されている。
附されている拵は佐竹家蔵刀に多くみられる赤銅地の揃金具を活かした造り込み。國路の生きた桃山文化の時代に倣ったもので、佐竹家特有の朱鞘に土筆図三所物を備え、がっしりとしながらも鞘が薄手に仕立てられている。

注…「七十七歳作」と刻された慶安五年の作があるにより生年が判明。



平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 表平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 裏平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 白鞘

平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 切先表平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 刀身中央表

平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 切先裏平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 刀身中央裏

平造脇差 銘 出羽大掾國路 元和五年十二月日 主大橋松節入重政 朱漆塗鞘脇差拵





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