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脇差 銘 近江大掾藤原忠廣(大業物)

肥前国 延宝頃 約三百三十年前
刃長 一尺六寸八分九厘半(51.2p)
反り 三分三厘
元幅 一寸二厘 先幅 六分九厘強
棟重ね 二分一厘半 鎬重ね 二分三厘強
金着二重はばき 白鞘入
昭和五十八年大阪府県登録

特別保存刀剣

 近江大掾忠廣は、寛永九年十九歳で父初代忠吉の後を継ぎ、元禄六年に八十歳で没する直前まで槌を振るって優品の数々を遺し、その作刀期間の長さは他に例をみないほど。その間に、子の陸奥守忠吉や孫の近江大掾忠吉ら優れた門弟を指導し、肥前刀の不動の礎を築き上げた功労者でもある。忠廣が求めた肥前刀の本質とは、古作山城来派にみられる小板目鍛えと微細な地沸の複合になる鋼の美の極致。不純物を叩き出した良質の地鉄を錬り鍛え合わせて均質な小沸の直焼刃を施し、腰に帯びるに安定感のある姿態に仕立てている。
 大小差しの小として製作されたこの脇差は延宝頃の作とみられ、身幅広く重ね厚く、腰元で反って中鋒の洗練味溢れる姿。地鉄は小板目肌が強く錬れて詰み、地景が網状に入って活力漲り、小粒の地沸が均一に付いて肌が潤う。焼刃は淡雪のような小沸が降り積もって匂口明るく冴え、刃中に小足無数に入る。帽子は僅かに刃に寄って先小丸、やや深く返る。浅い勝手上がり鑢で仕立てられた茎の保存状態は頗る良好。働き盛りの嫡子陸奥守忠吉の協力を得ての一振であろう。地刃美しく、覇気に満ちた直刃出来の優品である。


忠広 押形

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