《夜空に輝く星雲を鞘に映した美拵》
黒漆塗に、青、紫の大小大きさの異なる貝辺がきらめき、夜空に輝く星雲のようでもあり、拡大鏡で見ると万華鏡を覗くがごとし。実に洒落ている。
鞘の下半と柄に蒔絵された家紋は丸に抱き柏紋で、鞘の漆黒に金色鮮やかに映えて見事。金と黒の配色が鞘と柄で陰陽となっている。
銀地の目貫は家紋の柏葉を一枚一枚表裏に附している。葉脈が力強く現れ印象深い。栗形鵐目も上手。
つなぎから五寸を僅かに超える長さの端正な姿の短刀が収められていたことが分かる。おそらく、いざというときのために懐に備えていたものであろう。手にすると今は遠い幕政時代に想いは至る・・・・。品格優れた逸品。