922
短刀
銘 兼氏
Tanto
signature Kaneuji
ご成約を賜りました Sold out
美濃国 弘化 約170年前
Mino province
Koka era, about 170 years ago
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刃長 (hacho) |
九寸四厘強(27.4cm) |
反り (sori)
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一分三厘 (0.4cm) |
元幅 (motohaba) |
八分六厘弱(2.6cm) |
重ね (Kasane) |
二分弱(0.6cm) |
銀着一重ハバキ(fitted with silver foil single habaki)
白鞘入 (come in a magnolia scabbard)
昭和二十六年東京都登録(3月20日 4683号)
保存刀剣鑑定書(新々刀) Hozon certificate by NBTHK (Shinshinto)
志津三郎兼氏は、鎌倉末期から南北朝時代初期の刀工で、美濃刀の開拓者の一人である。沸出来の湾れに尖りごころの互の目を交えた刃文には大らかで奔放な味わいがあり、古来、愛好者が多い。
この短刀は江戸時代後期、弘化頃の美濃刀工兼氏の作。兼氏は「濃州志津三郎十九代孫」と称した。当時水心子正秀の復古刀理論が実践に移された時代。ここ美濃では兼氏こそが憧れの刀工であり、手本であったのだろう。身幅充分で浅く反りついてふくらやや枯れて鋭利な姿。地鉄は硬度の異なる鉄を合わせ鍛えたものであろう、板目肌に杢目を交えて肌目鮮明に立ち現れ、粒だった地沸が厚くついて光を強く反射して白く輝き、その複雑な景色は見応え充分。刃文は互の目、二つづつ連れた様子は小気味よく、小沸ついて刃縁明るく、金線・砂流しかかり、刃中は匂で冷たく澄む。帽子は乱れ込んで丸く返る、所謂美濃刀独特の地蔵帽子となる。茎は筋違鑢が掛けられ、保存状態は良好。神妙に刻された「兼氏」二字銘に、伝統の名工への憧れと、名工の名を汚すまいとの自負が滲んでいる。 |