840
宝尽図金具
黒蝋色漆塗鞘脇差拵

Kuro ro-iro nuri saya,
wakizashi koshirae

ご成約を賜りました Sold tou


拵全長
(Whole length)
一尺八寸六分四厘(56.5cm)
鞘長
(scabbard length)
一尺四寸一分九厘(43cm)
柄長
(Hilt length)
四寸一分九厘(12.7cm)
白鮫皮着糸巻柄
Hilt is covered with white shark skin, tied string.
刃長(Hacho) 約一尺四分九厘(31.8cm) / 反り(Sori) 僅少(a lettele)
刀身はありません。This koshirae has no blade.

縁頭・小柄・笄・鐺・鐔
fittings
(fuchigashira, koduka, kogai,kojiri and tsuba)

宝尽図 無銘 銀磨地毛彫
"Takara zukushi" no sign, made of silver
◆小刀穂 銀製
Shotoho; made of silver.

目貫(Menuki)

萬歳図 素銅地容彫金色絵
"Manzai", made of Suaka, gold iroe




 








悲喜こもごもの浮世。何か事あれば「人間万事塞翁午」の故事が引かれ、よくないと思ったことが幸運を招くこともあると諭されることもしばしばである。が、出来れば日々幸せに思うように世の中を渡っていきたいと考えるのが人情。
  表題の宝尽金具の脇差拵はそんな江戸の人々の願いが込められた作で、鐺は帯にすっと入るように丸く仕立てられている。柄頭には笠と分銅、縁には小判と七宝文、そして小柄には笠と分銅、そして巻物が、笄には打出の小槌、小判である。鐔の表は宝珠、分銅、裏には自在鉤と七宝文。鞘尻にはこれらの金具の締めくくりとして宝袋図鐺が附されている。銀磨地に毛彫で描かれた図柄は角度によってくっきりと浮かび上がり、一部黒化して渋い輝きを発して、僅かに飴色を帯びた黒漆塗鞘に見事に調和、格調の高い仕上がり。目貫は萬歳の図。末広(扇)を広げ延年延壽の舞を披露しているものであろうか。素銅地容彫に施された金色絵が映えて拵の美観は上々である。

注 : つなぎから判断するに、かつては身幅の割に寸法延び、重ねの薄い南北朝末期から室町初期の平造脇差が入っていたもののようである。