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茶漆塗鞘小さ刀拵
附 菊池槍 無銘


Cha urushi nuri saya, chisa ganata koshirae
Kikucih yari, no sign


ご成約を賜りました Sold out



―洒落た拵と凄絶み溢れる菊池槍



日本刀販売品 短刀 銘 肥後同田貫宗廣 明治三年閏十月日

拵全長 一尺六寸五分六厘 柄長 三寸九分九厘
Koshirae whole length: 50.2cm / Hilt length: 12.1cm
白出鮫皮包柄
家紋図目貫 赤銅地
桐紋散縁 赤銅魚子地高彫金色絵
荒坊主図小柄 銘 壽高(花押) 朧銀磨地高彫色絵

槍 無銘 菊池槍 Kikuchi yari, no sign
肥後国 南北朝時代末期
 約六二〇年前
Higo province / late Nanboku-cho period (late 14th century), about 620 years ago
穂長 六寸七厘 (Spear length; 18.4cm)  / 内反り僅少(Curved go to innner )
身幅 六分一厘(Width; 1.86cm) / 重ね 三分六厘強 (Thickness; 1.12cm)
彫刻 表裏 腰樋 Engraving: "Koshi-hi" on the both sides

銀地一重ハバキ 白鞘付 Silver single Habaki, Shirasaya
昭和三十六年東京都登録(108465号 9月28日)


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《こっくりとした茶漆が美しい短刀拵》

飴色の艶やかな塗りの鞘を、頭・鞘口・栗形・裏瓦の角の黒色がピリッと引き締めている。角製の簡素な小鐔には、二つの小穴が穿たれている。ここに紐を通し栗形に結び付け不用意な抜刀を戒めるためだろうか。薩摩拵を想わせ面白い。




 


  《洒落た外装に納められた凄みある槍》

 この瀟洒な外装には驚くことに菊池槍が収められている。
 身幅に比して重ね頗る厚く、腰元に樋が掻かれ、中程から先の肉が僅かに削がれ、僅かに内に反り、刺突の性能を最大限に追及した恐るべき姿。
 地鉄は板目肌に柾を交えて硬く詰み、直刃の刃文は僅かに箱がかった互の目を交えて一部食い違い、匂口が沈みごころとなり、静かな迫力を湛えている。帽子は掃き掛けて大丸に返る。
 棟の小さな打ち込み疵が実践装備の過去を物語っている

 菊池槍は槍の原初形態。所伝によれば、南朝の忠臣肥後の菊池武光によって考案され、地元の延壽鍛冶が鍛造したのが始まりという。 長柄に附したこの槍の威力は抜群で、百戦錬磨の騎馬武者たちも雑兵の振るうこの驚異の威力の前には敵わなかった。






 

 

壽孝(花押)と銘された朧銀の小柄が附されている。
表情豊かな人物がなんとも滑稽味を誘う。







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