祇園忠盛図目貫
無銘
短刀拵の出目貫にぴったりの小振りな目貫。小さいながらも色絵がふんだんに使われ瀟洒な印象。
画題は平家物語から「祇園忠盛」。表目貫は赤銅地に銀色絵が効いた主人公の平忠盛。裏目貫には毎晩祇園を徘徊すると噂されていた“妖”。実のところは灯火に油を注ぐ役割の社頭が赤銅地に素銅の色絵を効かせて描かれている。
両者が相まみえた後、忠盛はその”妖”を素手で組み伏せ、正体が明らかになるわけであるが…。平家一族の栄華の「始まり」となったエピソードが人物の動きも躍動感たっぷりに表現されていて面白い。
平忠盛は平清盛の父。この"妖退治"の一件で、時の権力者白川法皇より祇園女御を賜る。(彼女の子供が清盛)