縦(length)84.6mm　横(width)78.5mm　切羽台厚さ(thickness)3.3mm　※耳際(edge)4.6mm
重量(weight)149ｇ
鉄槌目地変り木瓜形高彫色絵象嵌 made of iron, Kawari-Mokko shape, iroe, inlay

時の最高権力者平清盛の娘婿高倉天皇の寵愛を受けたがために、清盛に疎まれ、天皇のもとからそっと身を引き嵯峨野へ隠遁した小督。彼女を忘れられない天皇の命を受け小督を消息を求め、嵯峨野に彼女が隠遁していることを突き止め、庵を訪ねる源仲国。おりしも仲秋の晩、仲国が奏でた笛の音に、小督が琴の音で応える。琴の名手小督が奏でた局は―、想夫恋。清かな秋の月の光に哀切な楽の音が響き渡っていくのだった。
平家の威光に儚く消えた悲しい愛の物語を描いた鐔。都から離れた侘しい庵の戸口と琴を弾く小督、そしてその戸口の外で笛を吹く仲国の姿が情感たっぷりに彫り描かれている。縦に取った構図は奥行きと広がりを感じさせ、仲国が騎乗している馬の装束の描写も細かい。王朝絵巻を見るような作である。

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