日本刀販売専門店 銀座長州屋

鶴に若松図三所物 小柄笄 銘 後藤光晃(花押)

江戸後期 武蔵国江戸 上製落込桐箱入 

 若松の涼やかな香りに誘われてきた鶴。正月の行事として知られる根松引きも、松の新芽を体内に取り入れることによって長寿を願う風習が背景にある。そもそも、森林の木々が生み出す自然の力の一つにフィトンチッドがあり、森林浴の泉源であることが判明している。この図柄は、亀と共に長寿の代名詞とされている鶴と、自然の治癒力を持つ若松を組み合わせた、お目出度い図柄。作者は後藤宗家十六代光晃。漆黒にわずかな青味のある光沢を有する極上質の赤銅地を贅沢に用い、繊細な彫刻と濃密な金の色絵を施しており、後藤家の伝統的美意識に繊細さが加わった崇高な作品となっている。

(『銀座情報1号』 掲載品)